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一次会・二次会・三次会で変わる業態適性

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飲み会は、一次会で終わるとは限りません。そして一次会・二次会・三次会は、客単価も、滞在時間も、店に求められる立地も違います。開業する側から見ると、これは「どの会次の需要を取る店なのか」で、業態・立地・営業時間・単価の設計がまるごと変わるということです。本ページでは、会次ごとの需要の性質を整理し、36業態の客単価・回転率データと突き合わせて、自分がどの需要を取りにいくのかを決められるようにまとめました。

会次が変わると、客も単価も立地条件も変わる

まず、需要の側を押さえます。二次会について、幹事100名を対象にしたアンケート(2024年12月実施)では、一人あたりの予算は「2,001円〜3,000円」が最も多く、店選びでは回答者の約50%が「一次会の場所からのアクセス」を重視すると答えています。さらに、二次会・三次会の受け皿としては、深夜から早朝(3〜4時)まで営業するカラオケ・ダーツ・ラーメン店に需要があるとされます。

この3つの事実は、開業する側にとって重要な意味を持ちます。二次会を取りにいくなら、単価は一次会より低く見積もる必要があり、何より「一次会をやっている店の徒歩圏にあるか」が生死を分けます。締めの需要を取りにいくなら、深夜営業が前提になり、その時間帯のコストを回収できるかが問われます。同じ「夜の飲食店」でも、狙う会次によって設計は別物になります。

出典: 二次会の予算・店選びの重視点は、焼鳥居酒屋チェーン「三代目鳥メロ」が実施した幹事向けアンケート(n=100・2024年12月)。回答者100名の小規模調査のため、確定した事実ではなく傾向を読む参考値として扱ってください。

会次 × 業態適性マップ

会次ごとの需要の性質と、そこに噛み合う業態を整理すると、次のようになります。業態の客単価・回転率は、当サイトが36業態について整備したベンチマークの数値です。

会次需要の性質店に求められるもの噛み合う業態の例
一次会 食事が主役。予約・団体・コース。19〜21時がピーク 席数と予約対応。コース設計。中〜高単価 居酒屋・焼肉・寿司・焼き鳥・イタリアン・中華
二次会 飲み直し。短時間・単品。すでに食べている 一次会からの徒歩圏。低〜中単価。短時間で回す 立ち飲み・串カツ・バー・お好み焼き・餃子
三次会・締め 深夜・少人数。〆の一杯/一麺 深夜営業。少人数席。回転か滞在かの二択 ラーメン・うどん・そば・バー

※ 業態の割り当ては、需要の単価帯・滞在の長さ・立地条件に照らした編集部の整理です。実際には同じ業態でも、立地と店づくり次第で複数の会次を取れます。

一次会を取る業態:予約と団体で席を埋める

一次会は、食事が主役で、幹事が予約して人数をまとめて連れてくる需要です。だから店側に必要なのは、席数と予約対応、そして人数分をさばけるコース設計になります。客単価は中〜高単価帯で、滞在が長いぶん回転は上がりません。当サイトのベンチマークで見ると、一次会を取りにいく業態はこのあたりです。

業態客単価回転率主な立地
居酒屋 3,500円 1.8回/日 駅前・繁華街・オフィス街
焼肉 4,000円 1.5回/日 駅前・繁華街・ロードサイド・郊外大型店
寿司 4,500円 2回/日 駅前一等地・繁華街・観光地・郊外ロードサイド(回転寿司)
焼き鳥屋 3,500円 1.8回/日 駅前・繁華街・オフィス街・住宅街アンカー店
イタリアン 3,000円 1.8回/日 駅前・繁華街・オフィス街・住宅街路面店
中華料理 1,800円 2.2回/日 駅前・住宅街・オフィス街・商店街

各業態の詳細: 居酒屋焼肉寿司焼き鳥屋イタリアン中華料理

多くは客単価3,000円前後以上で、回転が1日2回前後にとどまる滞在型です。ただし中華料理のように、客単価1,800円と低〜中単価ながら、円卓とコースで宴会・食事需要を取る業態もあります。共通しているのは単価の高さそのものより、席を予約で押さえて食事を主役にする点です。席が埋まらないと売上が立たないので、宴会・歓送迎会シーズンの予約をどれだけ取れるかが勝負になります。裏を返すと、団体客が読めない立地でこの設計を組むと、席が空いたまま固定費だけが出ていきます。

二次会を取る業態:アクセスの比重が大きい

開業設計として最も見落とされやすいのが、二次会の需要です。二次会の客は、すでに一次会で食べて飲んでいます。だから求めるのは「軽く飲み直せて、短時間で、しかも一次会の店から歩いていける」場所です。店選びで約半数が「一次会の場所からのアクセス」を重視したという調査結果(n=100)は、開業側から読むと、二次会ではアクセスの比重が大きく、一次会エリアから移動しやすい立地ほど取り込みやすい、ということを示唆します。料理や価格より先に「近さ」で候補に入るかどうかが決まりやすい需要だ、と捉えておくと設計を誤りません。

単価も違います。予算は一人2,001〜3,000円が最多で、一次会の中〜高単価帯より低い。すでに食べているので、注文はつまみと酒の単品が中心になり、滞在も短くなります。つまり、低〜中単価を短時間の回転で積む設計が要ります。当サイトのベンチマークで、この性質に噛み合うのがこのあたりです。

業態客単価回転率主な立地
立ち飲み・大衆酒場 1,800円 2.8回/日 駅前・繁華街・高架下・横丁・オフィス街の帰宅導線
串カツ屋 2,200円 1.8回/日 駅前・繁華街・オフィス街・観光地
バー 4,000円 1.5回/日 繁華街・駅前・オフィス街の隠れ家立地(雑居ビル)
お好み焼き屋 1,800円 2回/日 駅前・繁華街・ロードサイド・SCテナント
餃子専門店 1,500円 3回/日 駅前・商店街・住宅街ロードサイド

各業態の詳細: 立ち飲み・大衆酒場串カツ屋バーお好み焼き屋餃子専門店

なかでも立ち飲み・大衆酒場は、この需要と噛み合いやすい構造を持っています。客単価は1,800円と二次会の予算帯に収まり、回転は1日2.8回と、この表のなかでは高い。立地も「駅前・繁華街・高架下・横丁・オフィス街の帰宅導線」で、まさに一次会の帰り道です。短時間で飲んで次に移る客を、立ち席で回す。二次会の需要を素直に受けとめる設計だと言えます。

逆に、二次会を狙うのに一次会エリアから離れた立地を選ぶ、あるいは腰を据えて食べる前提のコースや席を作り込む、といった設計は噛み合いません。「軽く・近く・短く」が二次会の条件です。バーは客単価4,000円と高めですが、少人数で腰を落ち着けて飲む二次会・三次会の受け皿になります。同じ二次会でも、大人数でわいわい飲み直すのか、少人数で静かに飲み直すのかで、選ばれる業態は変わります。

三次会・締めを取る業態:深夜のコストを回収できるか

三次会や締めは、深夜帯の需要です。前述の調査で深夜〜早朝(3〜4時)の受け皿として挙げられているのは、カラオケ・ダーツ・ラーメンです。飲食業態としてはラーメンが名指しされており、うどん・そば・バーは、当サイトの業態データ(単価・回転・立地)を踏まえた締め需要の候補として本ページで整理したものです。ここを取りにいくなら、避けて通れないのが深夜営業のコスト判断です。

営業時間を延ばすかどうかは、感覚ではなく損益で決めます。判断の基本は、その時間帯に「営業することで新たに生じる1時間あたりの人件費と水道光熱費」と、「営業しなくてもかかっている1時間あたりの家賃と減価償却費」を比べることです。差引がプラスなら開ける価値があり、マイナスなら閉めたほうが有利になります。加えて、深夜0時以降に酒類提供を主目的として営業する場合は、所轄警察署を経由して公安委員会へ深夜酒類提供飲食店営業開始届が必要です(主食の提供が主目的の店など、該当しないケースもあるため管轄で確認してください)。労働基準法では、22時〜5時の深夜労働に25%以上の割増賃金が必要です。深夜帯は、売上だけでなくコストも割増になります。

業態客単価回転率主な立地
ラーメン 1,000円 6回/日 駅前・繁華街・オフィス街・ロードサイド
うどん店 800円 6回/日 駅前・オフィス街・ロードサイド・ショッピングモール
そば屋 950円 4回/日 駅前・オフィス街・住宅街・観光地
バー 4,000円 1.5回/日 繁華街・駅前・オフィス街の隠れ家立地(雑居ビル)

各業態の詳細: ラーメンうどん店そば屋バー

締めの需要を取る業態は、方向が二つに分かれます。ラーメン(客単価1,000円・回転6回)やうどん(800円・6回)のような低単価・高回転型は、深夜に短時間で客を通して数で稼ぎます。一方バー(4,000円・1.5回)は、少人数を高単価で長く座らせる。同じ深夜帯でも、回転で取るのか単価で取るのかが正反対です。深夜の割増コストを、どちらの型で回収するのかを先に決めます。

営業時間は、狙う会次から逆算して決める

会次を決めれば、営業時間はおのずと決まります。一次会を取るなら、ピークは19〜21時。居酒屋の一般的な営業時間は17時〜23時ごろで、その帯に人と食材を集中させます。二次会を取るなら、開けるべきは21時以降。一次会が終わる時間に店が閉まっていては、需要そのものが取れません。締めを取るなら深夜〜早朝で、その分のコストを回収できる単価と回転が要ります。

開業後に営業時間を見直すときも、感覚に頼らないことです。最低2ヶ月ほど、曜日ごと・1時間単位で来店客数と利益を記録し、赤字の時間帯を特定する。閉店時間帯に実際に店の前に立って人通りを観察し、取り逃している需要がないかを確かめる。「みんなこの時間まで開けているから」で決めた営業時間が、いちばん利益を削ります。

複数の会次を狙うときの落とし穴

「一次会も二次会も取りたい」と考えるのは自然ですが、両立には条件があります。一次会は予約と団体で席を押さえる商売、二次会は空いた席にふらっと来る客を短時間で回す商売です。19時から21時まで団体で満席にした店が、21時以降に二次会客を受け入れるには、席を空けて回すオペレーションと、コースとは別の単品メニューが要ります。これは、客単価も回転も違う二つの商売を、同じ厨房と人員で回すということです。

うまくいっている店は、たいてい主戦場を決めています。一次会で席を埋めきる店は、二次会を無理に追いません。二次会に振り切った立ち飲みは、団体の予約を取らずに回転で稼ぎます。両方を狙うなら、時間帯でメニューとオペレーションを切り替える前提で、人員と仕込みを設計しておく必要があります。中途半端に両方を狙って、団体も回転も取り逃すのが最悪のパターンです。

会次から業態を選ぶときのチェックリスト

  • 狙う会次を1つ決めたか:一次会(食事が主役・予約と団体)/二次会(飲み直し・短時間・近さ)/三次会・締め(深夜・少人数)
  • 立地が会次と噛み合っているか:二次会を狙うなら、一次会をやっている店の徒歩圏か。締めを狙うなら、飲んだ客が通る導線上にあるか
  • 単価設計が会次に合っているか:二次会の予算帯(一人2,001〜3,000円が最多)を超える設計になっていないか
  • 営業時間が会次に合っているか:二次会を狙うのに、一次会が終わる時間に閉店していないか
  • 深夜営業のコストを回収できるか:1時間あたりの人件費・光熱費と、深夜割増(22〜5時は25%以上)を、その時間帯の売上でまかなえるか
  • 複数の会次を狙うなら、時間帯でオペレーションを切り替える設計になっているか

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本ページは「客がどの目的(会次)で来るか」から業態を考える切り口です。開業資金・自分の経験・想定立地といった自分側の条件から業態を絞り込む手順は飲食店の業態の選び方、36業態の客単価・利益率・開業資金を一覧で見比べたい場合は業態比較表にまとめています。夜業態のなかで居酒屋とバー・バルのどちらにするかで迷っている場合は居酒屋 vs バー・バルの違いで、酒食の構成比・収益モデルから比較しています。