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飲食業界の上場企業ランキング

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開業する業態を調べていくと、「この業態の利益率は◯%」という数字に必ず行き当たります。では、その業態で何十店舗も回している上場企業は、実際にどれだけ利益を出しているのか。

金融庁 EDINET で公開されている有価証券報告書から、飲食の上場企業35社を業態別に抽出して集計しました。経常利益率の中央値は5.9%です。業界全体を網羅した集計ではなく、業態ごとに代表企業を選んだサンプルです(外食売上で上位のゼンショーホールディングス・すかいらーくホールディングスなどは含みません)。

さらに業態ごとに見ると、上場チェーンで利益率が高い業態と、個人店で利益率が高いとされる業態は、ほとんど一致しませんでした。順に見ていきます。

上場35社の経常利益率は中央値5.9%

まず全体の分布です。35社のうち15社が5%未満で、10%を超えるのは7社しかありません。最も高いコメダホールディングスで18.3%、最も低い幸楽苑ホールディングスは-0.4%の赤字です。

0%未満(赤字) 1社 0〜5%未満 14社 5〜10%未満 13社 10〜15%未満 6社 15%以上 1社 0 5 10 15社
上場していても、経常利益率が10%を超える会社は少ない

飲食の上場35社の経常利益率。中央値は5.9%で、15社が5%未満です。
多店舗を展開し、仕入れも人材採用も規模でこなしている会社でこの水準である、というのが出発点になります。
出典: 金融庁 EDINET 公表の有価証券報告書(各社の直近期)。

売上の大きさと、利益率の高さは連動しない

次に個社を見ます。下表はこの35社を売上の大きい順に並べ、経常利益率を隣に置いたものです(売上は原則として連結。単体は2社)。

売上4,296億円のFOOD & LIFE COMPANIESが7.9%である一方、売上規模が近い会社どうしでも利益率は数倍の開きがあります。売上の順位を上から追っても、利益率の順位にはなりません。

売上順 企業名 業態 売上高 経常利益率
1位 FOOD & LIFE COMPANIES (3563) 寿司・回転寿司 4,296億円 7.9%
2位 日本マクドナルドホールディングス (2702) ファストフード 4,166億円 12.5%
3位 コロワイド (7616) 居酒屋 2,692億円 1.8%
4位 トリドールホールディングス (3397) うどん・そば 2,682億円 2.0%
5位 サイゼリヤ (7581) イタリアン・洋食 2,567億円 6.2%
6位 くら寿司 (2695) 寿司・回転寿司 2,451億円 2.5%
7位 吉野家ホールディングス (9861) ファストフード 2,050億円 3.9%
8位 松屋フーズホールディングス (9887) 定食・大衆食堂 1,542億円 3.3%
9位 ドトール・日レスホールディングス (3087) カフェ・喫茶 1,488億円 6.5%
10位 物語コーポレーション (3097) 焼肉 1,239億円 7.3%

この表は本集計35社のなかでの売上順です。業界全体の売上順位ではありません(後述の「このデータについて」を参照してください)。売上は原則として連結ベースで、連結開示のない2社(ハイデイ日高・丸千代山岡家)は単体です。中華料理の売上中央値は、この単体数値を含んだ値になっています。

上場チェーンで強い業態と、個人店で利益率が高い業態は別

ここからがこのページの本題です。業態ごとに上場企業の経常利益率の中央値を出し、当サイトが各業態ページで使っている個人店の営業利益率ベンチマーク(avg 値)を並べました。後者は公的統計の実測値ではなく、当サイトが業態ごとに置いている想定値です。

ファストフードは、上場側にハンバーガーと牛丼が混在していて当サイトの業態区分と対応しないため、この比較から外しています(10業態が対象)。

上場チェーンの経常利益率(中央値) 個人店の営業利益率(当サイトのベンチマーク値) 中華料理 n=3社 10.2% 10% ラーメン n=4社 8.9% 10% イタリアン・洋食 n=2社 6.9% 10% 居酒屋 n=6社 6.3% 15% カフェ・喫茶 n=4社 6% 8% 焼肉 n=4社 5.9% 10% 寿司・回転寿司 n=4社 5.2% 7% 定食・大衆食堂 n=2社 2.6% 8% うどん・そば n=2社 2.1% 19% フレンチ n=1社 1.6% 7% 0 10 20%
紺色(上場)の順に並べても、オレンジ(個人店)はそろわない

上場チェーンの経常利益率が高い順に業態を並べています。オレンジが右肩下がりに並ぶなら「上場で強い業態は個人店でも強い」ことになりますが、実際にはばらばらです。
この10業態で計算した相関係数は-0.1でした。ただし各業態の上場社数は1〜6社と少なく、相関係数そのものを強い根拠にはできません
見てほしいのは、個々の業態で順位が大きく入れ替わることのほうです。

もっとも極端なのがうどん・そばです。上場チェーンの経常利益率は中央値2.1%で、この10業態のなかで最下位圏。ところが当サイトの個人店ベンチマークでは、うどん店18%・そば屋20%(単純平均で19%)と、比較した10業態のなかで最も高くなっています。

逆に中華料理は、上場が10.2%で首位ですが、個人店ベンチは10%で中位にとどまります。

うどん・そばで起きていること

この業態の上場企業は2社です。

  • トリドールホールディングス(3397)連結売上2,682億円・経常利益率2%
  • グルメ杵屋(9850)連結売上421億円・経常利益率2.2%

どちらも低単価の商品を、多くの店舗で売る形をとっています。売上規模は大きくても、経常利益率という指標では上位に来ません。

ここで押さえておきたいのは、連結の損益計算書には本部の人件費・システム・店舗開発費・のれん償却が含まれるということです。これは会計上の定義の話で、この2社の利益率がどこまで本部コストによるものかまでは、公表されている集計値からは分解できません。

一方、当サイトのベンチマークがうどん・そばで高い値を置いているのは、次のような店を想定しているからです。麺は原価率が低く、そば屋のベンチマークでも原価率30%。店主が自分で仕込みから接客まで回せば人件費が抑えられ、席数が少なくても回転で売上が立ちます。

ただしこれは想定条件であって、実測した平均ではありません。この数字をもって「個人店のほうが儲かる」と読むことはできません。

つまりこの2つの数字は、同じ「うどん・そば」という言葉で呼ばれていても、含んでいる費用の範囲が違います。上場側には本部の費用が含まれ、個人店側のベンチマークには含まれません。数字をそのまま比べることはできない、というのがここでの結論です。

カウンター8席ほどの小さなそば店の店内。店主が一人で厨房に立ち、麺の仕込みをしている
席数を絞り、店主が仕込みから接客まで担う形。当サイトのそば屋・うどん店のベンチマークは、こうした規模の店を想定した数値です。※ 一部AI生成のイメージで、特定の店舗の写真ではありません。

開業を考えるときに使えるのは、ここです。「上場チェーンが伸びている業態だから有望だ」も、「上場企業が薄利だからこの業態はやめておこう」も、どちらも成り立ちません。

業態ごとの個人店ベンチマークと上場企業の数字は、別々に見る必要があります。

そもそも経常利益率と営業利益率は別の指標

前の図で紺色とオレンジを並べましたが、この2つは厳密には同じものではありません。読み違えないよう、違いを整理しておきます。

  • 営業利益は本業の売上から原価と販売管理費を引いたもの。経常利益はそこに受取利息などの営業外収益を足し、支払利息などの営業外費用を引いたものです。借入に伴う支払利息が大きい会社では、経常利益が営業利益より小さくなりやすくなります。
  • 上場企業の数字は連結(グループ全体)で、本部の人件費・システム・店舗開発費・のれん償却・減価償却がすべて含まれます。個人店の営業利益率にはこれらの本部コストがありません。
  • 個人店の営業利益は、店主自身の労働に対する報酬を含んだまま計算されることが少なくありません。役員報酬を引く前の数字と、引いた後の数字を比べると、前者が大きく出ます。

つまり紺色とオレンジを直接引き算して「差が◯ポイント」と論じることはできません。

それでも並べているのは、業態間で順位が入れ替わるという事実自体は見ておく価値があるからです。ただし、この順位差がどこまで業態ごとの構造の違いによるもので、どこまでが指標・会計範囲・母数の違いによるものかは、この集計からは分解できません。

使い方としては、「上場と個人店では順位が違うことがある」という注意喚起までにとどめ、業態選びの判断は各業態の原価率・FL比率・投資額といった自分の店に直接効く数字で行ってください。

業態別の一覧(上場企業)

経常利益率の中央値が高い順です。上場社数が1〜3社の業態は、その数社の状況に大きく引っ張られます。フレンチは1社のみで、中央値はその1社の値です。

業態 上場社数 経常利益率
中央値
売上中央値 ROE中央値
中華料理 3社 10.2% 556億円 11.3%
ラーメン 4社 8.9% 350億円 20.5%
イタリアン・洋食 2社 6.9% 1,436億円 13.9%
居酒屋 6社 6.3% 495億円 15.5%
カフェ・喫茶 4社 6.0% 590億円 8.3%
焼肉 4社 5.9% 328億円 8.2%
ファストフード 3社 5.8% 2,050億円 6.1%
寿司・回転寿司 4社 5.2% 1,592億円 9.9%
定食・大衆食堂 2社 2.6% 931億円 2.9%
うどん・そば 2社 2.1% 1,552億円 7.2%
フレンチ 1社 1.6% 107億円 30%

資本効率と財務の安定性

ROE(自己資本利益率)は、株主が出したお金に対してどれだけ利益を生んだかを示します。自己資本比率は総資産のうち返済不要の資金がどれだけあるかで、売上が落ちたときの耐久力にあたります。

借入を使うと自己資本比率は下がり、利益が維持できていればROEを押し上げることがあります。ただし金利負担や投資効率次第なので、借入を増やせばROEが上がるとは限りません。

ROE 企業名 業態 ROE 自己資本比率
1位 丸千代山岡家 (3399) ラーメン 43.9% 55.4%
2位 Genki Global Dining Concepts (9828) 寿司・回転寿司 32.4% 49%
3位 ひらまつ (2764) フレンチ 30.02% 48.4%
4位 ギフトホールディングス (9279) ラーメン 23.4% 47%
5位 エターナルホスピタリティグループ (3193) 居酒屋 18.6% 45.7%
6位 SFPホールディングス (3198) イタリアン・洋食 18% 62.5%
7位 物語コーポレーション (3097) 焼肉 17.7% 54.3%
8位 力の源ホールディングス (3561) ラーメン 17.6% 57.5%
9位 ヨシックスホールディングス (3221) 居酒屋 16.5% 76.8%
10位 ワタミ (7522) 居酒屋 14.5% 37.5%

開業でも同じ見方ができます。総投資額に対する自己資金の割合が高いほど毎月の返済負担が軽く、売上が計画を下回った月の耐久力が上がります。
日本政策金融公庫の創業融資でも、自己資金の充実度は審査で見られる要素です。自己資金と借入のバランスは開業資金の考え方で整理しています。

開業を考えるときに、この数字をどう使うか

ここまでの内容を、業態選びの手順に落とすと3つになります。

  • 上場企業の利益率を自店の目標値にしない。規模も指標も違います。自店の目標は業態別の個人店ベンチマークと、自分の物件条件から立てます。
  • 上場チェーンの動きは競合環境として読む。その業態に大手が何社あり、どれくらいの規模なのかは、自分が戦う場所の混み具合を知る手がかりになります。ただし実際の競合状況は、出店エリア・店舗数の推移・価格帯を個別に確認しないと分かりません。ここの数字だけで判断しないでください。
  • 個人店として成立する構造かを確かめる。うどん・そばのように、上場チェーンの数字と個人店のベンチマークが大きく食い違う業態があります。上場側の水準は自店の可否の判断には使えません。各業態ページの原価率・FL比率・投資額から、自分の想定規模で成立するかを確かめてください。

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上場企業の数字と自店の計画をどうつなぐかは、物件・規模・自己資金によって変わります。想定している業態と条件をお聞かせいただければ、収支の組み立て方を一緒に整理します。相談は無料です。

このデータについて

  • 金融庁 EDINET で公開されている有価証券報告書から、飲食の上場35社を業態別に抽出して集計しています。各社の直近期の数値で、原則として連結ベースです。連結での開示がない2社(ハイデイ日高・丸千代山岡家)は単体の数値を使っています。
  • 業界全体の網羅ではありません。業態別に代表的な企業を選んでいるため、外食売上で上位に来るゼンショーホールディングス・すかいらーくホールディングスなどは本集計に含まれていません。売上規模の全体像を知りたい場合は、各社のIR資料や業界統計をご覧ください。
  • IFRS を適用している企業(コメダホールディングス・コロワイド・FOOD&LIFE COMPANIES・トリドールホールディングス)は、日本基準の経常利益に相当する項目がないため「税引前利益」を用いています。
  • 業態ごとの上場社数は1〜6社です。社数が少ない業態の中央値は、その数社の状況に強く左右されます。
  • 個人店側の営業利益率は、当サイトが各業態ページで使っているベンチマークの avg 値です。公的統計の実測値ではなく、業態ごとに置いている想定値で、実際の店舗にはレンジがあります。カフェ・喫茶は「カフェ」と「喫茶店」、うどん・そばは「うどん店」と「そば屋」の単純平均を当てています。

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