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飲食店の業態別 開業資金ランキング

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飲食店の開業資金は業態によって6倍以上の差があります。低投資業態は早期回収が魅力ですが、客単価と客数の確保が難しく、慎重な立地選定が必要です。

36業態を当サイトの想定値でランキングし、業態ごとの資金内訳と借入のポイントを整理します。

「開業資金の平均は◯◯万円」は、飲食店だけの数字ではない

開業資金を調べると、まず出てくるのが平均額です。日本政策金融公庫が2025年8月に実施した新規開業実態調査では、開業費用の平均975万円、中央値600万円

分布を見ると「250万円未満」が20.1%、「250万〜500万円未満」が21.7%で、4割以上が500万円未満です。

この数字だけを見て飲食店の計画を立てると、足りません。当サイトが36業態に置いている想定値では、500万円未満で始められる業態はひとつもないからです。

500万円未満 0% 41.8% 500〜1,000万円 25% 29.7% 1,000〜2,000万円 55.6% 18.5% 2,000万円以上 19.4% 10% 当サイトの36業態 公庫調査(全業種)
500万円未満の帯が、まるごと入れ替わる

赤は当サイトが36業態に置いている想定値の分布。灰は日本政策金融公庫「2025年度新規開業実態調査」の開業費用分布(2026-08-20 確認)。

ずれる理由は、母集団が違うからです。公庫の調査は全業種が対象で、開業業種の内訳はサービス業27.7%、医療・福祉16.7%と続き、飲食店・宿泊業は14.5%にすぎません。

自宅で始められる業種や、設備をほとんど持たない業種が多く含まれています。

飲食店は、内装工事と厨房機器という重い設備が前提です。この表の中央値は1,450万円で、公庫調査の中央値600万円の2倍以上になります。

他業種と混ざった平均額は、飲食店の計画の基準にはなりません。

なお公庫の調査は、同公庫が2024年4月から9月にかけて融資した企業のうち、融資時点で開業後1年以内のもの(不動産賃貸業を除く8,517社)に送り、2,165社から回収したものです。

融資を受けた企業が母集団なので、自己資金だけで開業した層は含まれていません。

開業資金ランキング(安い順)

個店の初期投資(左)と、同じ業態の上場大手の連結売上中央値(右)を並べています。

個店は550万円から始まり、上場大手は数百億円規模です。

同じ業態でも、こちらは桁が違う商売だということが分かります。上場企業の売上規模は、個店の開業資金の根拠ではありません。規模感の対比として置いています。

順位 業態 個店初期投資 規模感 回収期間 客単価 上場大手 連結売上中央値
1位 タピオカ・ドリンク専門店 550万円 小規模(〜800万円) 3年 500円 -
2位 唐揚げ専門店 600万円 小規模(〜800万円) 3年 800円 -
3位 クレープ屋 650万円 小規模(〜800万円) 3年 600円 -
4位 焼き鳥屋台 650万円 小規模(〜800万円) 2.5年 2,000円 -
5位 カフェ 700万円 小規模(〜800万円) 4年 1,200円 590億円
6位 アイスクリーム屋 700万円 小規模(〜800万円) 4年 500円 -
7位 喫茶店 700万円 小規模(〜800万円) 5年 900円 590億円
8位 立ち飲み・大衆酒場 800万円 小規模(〜800万円) 2年 1,800円 -
9位 テイクアウト・弁当 900万円 中規模(800〜1,500万円) 3年 800円 -
10位 定食屋 1,000万円 中規模(800〜1,500万円) 4年 900円 931億円
11位 中華料理 1,200万円 中規模(800〜1,500万円) 4年 1,800円 556億円
12位 餃子専門店 1,200万円 中規模(800〜1,500万円) 3年 1,500円 -
13位 居酒屋 1,200万円 中規模(800〜1,500万円) 4年 3,500円 495億円
14位 ホルモン専門店 1,300万円 中規模(800〜1,500万円) 3年 3,000円 -
15位 牛タン専門店 1,400万円 中規模(800〜1,500万円) 3年 2,500円 -
16位 韓国料理店 1,400万円 中規模(800〜1,500万円) 3年 3,000円 -
17位 そば屋 1,400万円 中規模(800〜1,500万円) 4年 950円 -
18位 とんかつ屋 1,400万円 中規模(800〜1,500万円) 4年 1,800円 -
19位 バー 1,500万円 中規模(800〜1,500万円) 4年 4,000円 -
20位 ケーキ屋 1,500万円 中規模(800〜1,500万円) 4年 1,200円 -
21位 カレー屋 1,500万円 中規模(800〜1,500万円) 3.5年 1,200円 -
22位 串カツ屋 1,500万円 中規模(800〜1,500万円) 4年 2,200円 -
23位 お好み焼き屋 1,500万円 中規模(800〜1,500万円) 4年 1,800円 -
24位 ラーメン 1,500万円 中規模(800〜1,500万円) 3年 1,000円 350億円
25位 スイーツ専門店 1,500万円 中規模(800〜1,500万円) 4年 1,500円 -
26位 ステーキ屋 1,700万円 大規模(1,500〜2,500万円) 4年 3,200円 -
27位 ピザ屋 1,800万円 大規模(1,500〜2,500万円) 4年 1,500円 -
28位 うどん店 1,800万円 大規模(1,500〜2,500万円) 4年 800円 1,552億円
29位 焼き鳥屋 1,800万円 大規模(1,500〜2,500万円) 4年 3,500円 -
30位 イタリアン 2,000万円 大規模(1,500〜2,500万円) 4年 3,000円 1,436億円
31位 パン屋 2,400万円 大規模(1,500〜2,500万円) 5年 850円 -
32位 牛丼屋 2,500万円 大規模(1,500〜2,500万円) 4年 650円 -
33位 焼肉 2,500万円 大規模(1,500〜2,500万円) 5年 4,000円 328億円
34位 ハンバーガー店 2,800万円 超大規模(2,500万円超) 4年 1,500円 2,050億円
35位 寿司 3,000万円 超大規模(2,500万円超) 6年 4,500円 1,592億円
36位 フレンチ 3,500万円 超大規模(2,500万円超) 7年 6,000円 107億円

※ 「上場大手 連結売上中央値」は 飲食上場企業ランキング と同じデータソース (EDINET API V2)。多店舗展開・連結化で連結売上が大きくなる構造です。

同じ業態のなかでも、金額は3〜4倍ひらく

ランキングは業態ごとの平均値です。ただし業態を決めても、金額は決まりません。36業態それぞれに最小と最大の想定を置いていますが、その比率の中央値は3.7倍です。

居酒屋 500〜3,000 カフェ 300〜1,500 ラーメン 800〜3,000 焼肉 1,500〜5,000 寿司 1,500〜6,000 フレンチ 2,000〜6,000 0 3,000 6,000万円
帯が振れ幅、赤い点が平均。居酒屋は500万円から3,000万円まで

当サイトが各業態に置いている最小・平均・最大の想定値です。

居酒屋は500万円から3,000万円で6倍、カフェも300万円から1,500万円で5倍あります。「居酒屋なら1,200万円」ではなく、「どういう居酒屋をどこで何坪でやるか」で決まります。

振れ幅を作っているのは、主に3つです。坪数(10坪と30坪では内装も家賃も3倍違う)、立地(保証金は賃料の6〜10か月分が目安なので、賃料が上がれば物件取得費も上がる)、そして居抜きかスケルトンかです。

ランキングの数字は目安として使い、実際の金額は物件が決まってから積み上げることになります。

開業資金の内訳(業界の標準的な配分)

初期投資の総額は、おおむね以下の費目に分解されます。業態によって構成比は異なりますが、内装・厨房設備が最大の項目になるケースが多いです。

費目 標準的な構成比 主な内容
物件取得費15〜25%保証金・礼金・仲介手数料・前家賃
内装・外装工事30〜40%スケルトン or 居抜きで大きく変動。給排水・電気容量・換気設計
厨房機器・備品15〜25%冷蔵庫・コンロ・フライヤー・食洗機等。リース活用で初期負担軽減も可能
什器・家具5〜10%テーブル・椅子・カウンター・棚
看板・サイン2〜5%外観サイン・店頭看板・メニューボード
運転資金10〜20%開業後3〜6ヶ月分の家賃・人件費・仕入の手元資金

当サイトが36業態それぞれに置いている内訳を、各業態の合計を100%として集計すると、構成比の中央値は内装工事費39.7%、厨房・製造設備26.6%、物件取得費15.4%、運転資金13.3%でした。

内装と厨房を合わせると3分の2を占めます。設備をどこまで引き継げるか、つまり居抜きかスケルトンかの選択が、開業資金の大きさを大きく左右するということです。

内装工事前のスケルトン状態の店舗。コンクリート床と配管がむき出しの天井
スケルトンは、床・壁・天井・給排水・電気・空調・厨房のすべてをゼロから作ります。総額の4割を占める内装工事費が、どこまで膨らむかがここで決まります。

注意したいのは運転資金です。開業してすぐ黒字になるわけではないので、数か月分の家賃と人件費は、設備とは別枠で持っておく必要があります。ここを設備に回してしまうと、客足が想定より遅いときに立て直す前に資金が尽きます。

自己資金はいくら用意しておくか

全額を借りて始めることはできません。では手元にいくら要るのか。公庫の同じ調査に、資金調達の実績が出ています。

調達先平均額調達額に占める割合
金融機関等からの借り入れ827万円67.9%
自己資金279万円22.9%
配偶者・親・兄弟・親戚/友人・知人等/その他合わせて残り9.3%
調達額の合計1,219万円100%

出典: 日本政策金融公庫「2025年度新規開業実態調査」(2026-08-20 確認)。全業種の平均で、飲食店だけの値ではありません。

この2つで全体の90.7%を占めます。残りは配偶者や親族、友人・知人などからの調達です。借り入れが67.9%を占めていますが、この数字はそのまま「7割借りられる」とは読めません。

調査の母集団が公庫の融資先だからです。融資を受けずに自己資金だけで開業した層は、はじめから含まれていません。

もうひとつ注意したいのは、1,219万円は調達額であって、開業費用(平均975万円)とは別の数字だということです。調達額に占める自己資金の割合23%を、そのまま自分の初期投資に掛けて必要額を出すことはできません。

それでも読み取れるのは、全額を借りて始めた例は少ないという事実です。必要な自己資金の額は、物件の条件と事業計画、そして審査で個別に決まります。金額の目安は、融資の相談窓口で自分の計画を見せて確認してください。

融資の審査では、自己資金の額だけでなくどう貯めたかも見られます。通帳に毎月積み上がっている履歴があるかどうかで、計画性の評価が変わります。

開業を決めてから慌てて用意した資金は、そう見えません。資金調達公庫の創業融資で、申し込みまでの流れを整理しています。

規模別の資金調達戦略

以下は資金の組み立て方の一例です。借りられる金額は、自己資金・事業経験・物件の条件と審査で個別に決まります。

当サイトは電気・ガスの開通取次を行っており、融資の申請や許認可の代行は行っていません。金額の相談は、公庫や金融機関の窓口、認定支援機関へお願いします。

小規模(〜800万円): 自己資金と小口融資

自己資金に日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金(創業期は原則無担保・無保証人)を組み合わせて組み立てることが多い規模です。

テイクアウト系・唐揚げ専門店は厨房スペースを抑えた小型店舗で開業できるため、家賃負担も抑えられます。

一方で客単価が低く、立地と知名度が売上を左右するため、開業時の認知獲得策(SNS・チラシ・通行客向け試食会等)が重要になります。

中規模(800〜1,500万円): 公庫融資と保証協会の組み合わせ

居酒屋・カフェ・中華料理・ラーメンなどボリュームゾーンの業態が並びます。公庫の新規開業・スタートアップ支援資金と、信用保証協会付き融資を併用して組み立てる例があります。

金額の配分は自己資金・経験・物件条件と審査によって決まります。事業計画書の精度が審査結果に直結するため、創業計画書の作成は早めに取りかかるのが定石です。

大規模(1,500〜2,500万円): 計画段階から金融機関と話す

イタリアン・焼肉などの中高単価業態で、20〜30坪の中型店舗を出すケースです。この規模になると公庫単体ではまかないきれないことがあり、地銀・信金との並行相談が現実的になります。

物件契約前から金融機関に相談を始め、事業計画と物件情報をセットで提示できるようにしておきます。

超大規模(2,500万円超): 計画の精度が問われる

寿司・フレンチなど高単価業態の単独店舗で、内装・厨房設備のグレードが上がるためです。融資総額は2,000万円超になることが多く、初回融資だけでなく、開業後の追加運転資金まで見据えた金融機関選定が重要です。

回収期間も6〜7年と長くなるため、計画段階で売上の下振れシナリオまで作り込む必要があります。

安く始められる業態は、回収も早い。ただし別の条件が付く

ランキングの上のほう、つまり資金が少なくて済む業態を選べば楽なのか。数字で見ると、少なくとも回収の面では有利です。

1,000万円未満の9業態2,000万円以上の7業態
営業利益率の中央値16%10%
回収年数の中央値3年5年
客単価の中央値800円3,000円
坪月商の中央値15万円32万円

低投資の側が利益率も回収年数も上回っています。カフェ、テイクアウト・弁当、唐揚げ専門店、クレープ屋、タピオカ専門店、アイスクリーム屋、焼き鳥屋台、喫茶店、立ち飲み・大衆酒場の9業態です。

ただし、客単価が800円と3,000円では商売の作り方がまったく違います。低単価の業態は、客数で売上を作ります。

1日に何人通る場所なのかが、そのまま成否になります。坪月商の中央値が15万円と低いのは、そもそも小さく作る前提だからです。

つまり「安く始められる」は、「客数への依存が大きくなる」とセットだということです。

単価が低いぶん、想定した客数が出るかどうかで結果が大きく変わります。通行量・導線・認知の取り方を、物件を決める前に検証しておく必要があります。

どちらが良いという話ではなく、用意できる資金で、どちらの型になるかが決まるということです。業態比較表で36業態の位置関係を、物件の探し方で立地の条件を確認してください。

初期投資を抑える3つの実務ポイント

  1. 居抜き物件を使う。同業態の居抜きは内装・厨房設備の流用で工事費を3〜5割圧縮できる場合があります。ただし設備の老朽化・契約条件(造作譲渡費)も含めた総額比較が必要です
  2. 厨房機器をリースにする。業務用冷蔵庫・食洗機等はリースで初期負担を月額化できます。総支払額は購入よりやや高くなりますが、開業時のキャッシュ温存に有効です
  3. 補助金・助成金を組み合わせる。小規模事業者持続化補助金・東京都の創業助成金等は、内装工事や広告費の補填として使える場合があります。採択時期と工事スケジュールの整合に注意してください

自分の場合の金額は、物件が決まってから出す

ここまでの数字は目安です。実際の金額は、次の順番で積み上げると出ます。ランキングの数値は、この計算が現実的かどうかを確かめるための物差しとして使ってください。

  1. 物件取得費を確定する。保証金・礼金・仲介手数料・前家賃の合計です。金額は募集条件で大きく変わるので、試算では賃料の数か月分を置いておき、物件が決まったら募集条件の実額に置き換えます。ここは確定できる項目です
  2. 内装工事の見積もりを取る。総額の半分を占める項目なので、ここの精度が全体を決めます。居抜きなら造作の譲渡費と、それでも直す部分の費用を分けて見ます(内装工事の費用相場
  3. 厨房機器を、新品とリースと中古で比べる。合わせて、物件のガス種別と容量で使える機種が限られないかを確認します(ガスの開通
  4. 運転資金を別枠で置く。家賃・人件費・仕入れの数か月分です。ここを設備に回さない
  5. 合計を、この表の同業態のレンジと比べる。最大を超えているなら、坪数か仕様のどこかが想定より重くなっています

許認可の手続きも、物件を決める前に確認する項目があります。テイクアウトや物販を考えているなら、飲食店営業の許可だけでは足りない場合があります(営業許可)。

このページで使ったデータ

  • 業態別の初期投資・営業利益率・回収年数・坪月商: 当サイトが36業態に置いている想定値です。業界の相場観をもとに置いたモデル値であって、実店舗を集計した平均ではありません
  • 開業費用の平均・中央値・分布、資金調達額の内訳、開業業種の構成: 日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(2026-08-20 確認)。同公庫が2024年4月から9月に融資した企業のうち融資時点で開業後1年以内のもの8,517社に送り、2,165社から回収したものです。全業種が対象で、飲食店・宿泊業は14.5%を占めます

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最終確認日: 2026-08-20