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飲食店の事業計画書テンプレート

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事業計画書は創業融資・補助金申請の中核書類です。本ページでは日本政策金融公庫の創業計画書をベースに、飲食店の数値根拠の作り方と、業態別の月商予測サンプル・借入額別の返済シミュレーションまで網羅して解説します。

事業計画書の主要8項目

  1. 創業の動機: なぜこの店を開くのか、業態選定の理由を3-5行で具体的に
  2. 経営者の略歴: 飲食業の実務経験を年表で記載(業態・役職・在籍期間・実績)
  3. 取扱商品・サービス: 主要メニュー・客単価・客層・差別化要因
  4. 取引先・取引関係: 仕入先(複数社確保)、想定客層、競合対比
  5. 従業員: 開業時の人員構成と人件費見込み
  6. お借入の状況: 既存ローン(住宅・カードローン等)を全件記載
  7. 必要な資金と調達方法: 自己資金・公庫融資・他融資・補助金の内訳
  8. 事業の見通し: 月次の売上・原価・諸経費・利益の3年分試算

売上予測の作り方

飲食店の売上は「客単価 × 客数 × 営業日数」で予測します。各項目の数値根拠は以下から導出します。

  • 客単価: メニュー価格 × 想定注文数(業界平均は ビジネスモデル図鑑 の業態別データを参照)
  • 客数: 席数 × 回転率(業界平均値)× 稼働率(開業1年目は70〜85%が現実的)
  • 営業日数: 月25〜27日が標準(定休日・年末年始考慮)

業態別の月商予測サンプル(業界平均ベース)

「同じ坪数・同じ席数でも業態によって月商はここまで違う」という比較材料です。事業計画書では自店舗の独自要因で数値を補正していきますが、まず業界平均でベースラインを把握すると審査側にも説明しやすくなります。

業態 客単価 回転率 坪月商(業界平均) 30坪換算の月商 上場大手 連結売上中央値
牛丼屋 650円 15回転 440,000円 1,320万円 -
焼肉 4,000円 1.5回転 380,000円 1,140万円 328億円
寿司 4,500円 2回転 350,000円 1,050万円 1,592億円
フレンチ 6,000円 1.3回転 320,000円 960万円 107億円
ハンバーガー店 1,500円 3.5回転 320,000円 960万円 2,050億円
定食屋 900円 3.2回転 320,000円 960万円 931億円
牛タン専門店 2,500円 2.5回転 280,000円 840万円 -
居酒屋 3,500円 1.8回転 280,000円 840万円 495億円
テイクアウト・弁当 800円 13.5回転 280,000円 840万円 -
韓国料理店 3,000円 2回転 260,000円 780万円 -
バー 4,000円 1.5回転 250,000円 750万円 -
ホルモン専門店 3,000円 2回転 250,000円 750万円 -
イタリアン 3,000円 1.8回転 250,000円 750万円 1,436億円
唐揚げ専門店 800円 10回転 250,000円 750万円 -
立ち飲み・大衆酒場 1,800円 2.8回転 250,000円 750万円 -
うどん店 800円 6回転 230,000円 690万円 1,552億円
中華料理 1,800円 2.2回転 220,000円 660万円 556億円
餃子専門店 1,500円 3回転 220,000円 660万円 -
パン屋 850円 0回転 220,000円 660万円 -
ステーキ屋 3,200円 1.8回転 220,000円 660万円 -
焼き鳥屋 3,500円 1.8回転 220,000円 660万円 -
串カツ屋 2,200円 1.8回転 200,000円 600万円 -
ラーメン 1,000円 6回転 200,000円 600万円 350億円
とんかつ屋 1,800円 2.5回転 200,000円 600万円 -
焼き鳥屋台 2,000円 2.2回転 180,000円 540万円 -
スイーツ専門店 1,500円 0回転 170,000円 510万円 -
ケーキ屋 1,200円 0回転 160,000円 480万円 -
ピザ屋 1,500円 3回転 160,000円 480万円 -
そば屋 950円 4回転 160,000円 480万円 -
カフェ 1,200円 2回転 150,000円 450万円 590億円
クレープ屋 600円 0回転 150,000円 450万円 -
カレー屋 1,200円 3.5回転 150,000円 450万円 -
アイスクリーム屋 500円 0回転 130,000円 390万円 -
喫茶店 900円 1.8回転 130,000円 390万円 590億円
お好み焼き屋 1,800円 2回転 130,000円 390万円 -
タピオカ・ドリンク専門店 500円 0回転 130,000円 390万円 -

※ 「上場大手 連結売上中央値」は 飲食上場企業ランキング と同じデータソース (EDINET API V2)。事業計画書の「市場規模」「業界トレンド」セクションの参考値として活用可能。

注: 30坪換算は業界平均の坪月商×30坪で計算した参考値です。実際の月商は立地・商圏・運営力で大きく変動します。

収支計画の作り方

月次の収支は、業界平均のコスト構造(FL比率60%前後・家賃8〜12%・水光熱3〜5%・その他販管費3〜5%・営業利益率8〜15%)をベースに組み立てます。3年分の収支計画では、初年度の数ヶ月は売上の立ち上がり期間として保守的に見積もり、2年目以降を標準シナリオに揃えるのが定番です。

月次収支の例(居酒屋・30坪・月商650万円のケース)

項目金額構成比
月商6,500,000円100%
食材原価1,950,000円30%
人件費1,950,000円30%
家賃(共益費込み)520,000円8%
水光熱費260,000円4%
その他販管費260,000円4%
減価償却費150,000円2.3%
支払利息17,000円0.3%
営業利益1,393,000円21.4%

借入額別の返済シミュレーション

事業計画書の「事業の見通し」では、月次の営業利益から元利均等返済額を差し引いて、最終的な手元キャッシュを示します。借入額・利率・期間で月額返済額がどう変わるかを、よく使われるパターンでまとめました。

借入額 利率(年) 5年返済 7年返済 10年返済
500万円 2.0% 88千円/月64千円/月46千円/月
1,000万円 2.0% 175千円/月128千円/月92千円/月
1,500万円 2.0% 263千円/月192千円/月138千円/月
2,000万円 2.5% 355千円/月260千円/月189千円/月
3,000万円 2.5% 532千円/月390千円/月283千円/月

注: 元利均等返済の概算値です。実際の利率・返済方式は金融機関ごとに異なります。日本政策金融公庫の新規開業資金は2026年4月時点で利率2%前後の例が多いですが、担保・保証人の有無・自己資金比率で変動します。

返済比率の目安

月次の返済額が月商に占める比率(返済比率)は、以下の基準で評価されます。

  • 返済比率 3%以下: 安全水準。返済余力に余裕があり、追加投資・運転資金にも対応しやすい
  • 返済比率 3〜7%: 標準水準。営業利益率10%以上を維持できれば現実的
  • 返済比率 7%超: 警戒水準。売上が下振れた場合に資金繰りが厳しくなる。借入期間延長・自己資金増額の検討が必要

採点される8項目のNG/OK文例

1. 創業の動機

  • NG: 「美味しい料理を提供して地域に貢献したい」(抽象的・差別化要因なし)
  • OK: 「現職の和食店で5年間調理長を務め、客単価3,500円帯の地域客向け業態で月商600万円を維持してきた経験を活かし、同様の客層が3万人いる○○駅西口エリアで独立する。既存3店との差別化として、産地直送魚介の刺身5種盛り(780円)を看板商品に据える」

2. 経営者の略歴

  • NG: 「2018年〜現在: 飲食店勤務」(期間・業態・役職が曖昧)
  • OK: 「2018年4月〜2021年3月: ○○居酒屋(神田店、月商800万円)にてホールスタッフ→ホールリーダー。2021年4月〜現在: ○○和食(恵比寿店、月商1,200万円)にて調理長。客単価3,500円、原価率28%の管理を3年実績」

3. 取扱商品・サービス

  • NG: 「こだわりの素材を使った和食」(具体性なし)
  • OK: 「主力メニュー: 産地直送5種盛り(780円・粗利率55%)、日替わり煮魚定食(1,200円・粗利率68%)、コース2種(3,800円・5,500円)。ランチタイム客単価1,200円、ディナー客単価3,500円。客層は周辺オフィス勤務30〜50代男女中心」

4. 取引先・取引関係

  • NG: 「市場で仕入れる」(取引先1本依存はリスク評価で減点)
  • OK: 「鮮魚: 豊洲市場仲卸2社(A社・B社)と取引予定。野菜: 大田市場・地元青果店の併用。米・調味料: 食品問屋C社経由。仕入先複数化で価格交渉力と供給安定性を確保」

7. 必要な資金と調達方法

  • NG: 「自己資金100万円、公庫融資1,500万円」(自己資金比率が低すぎ、開業後の資金繰りリスク)
  • OK: 「総額1,500万円。内訳: 自己資金400万円(家族支援含む)、公庫新規開業資金1,000万円(利率2%・10年返済)、東京都中小企業制度融資100万円(利率1.5%・5年)。自己資金比率27%」

8. 事業の見通し(売上予測)

  • NG: 開業初月から月商600万円・営業利益25%を計上(立ち上がり期間の考慮なし)
  • OK: 「初月: 月商380万円(稼働率60%)、3ヶ月目: 480万円(75%)、6ヶ月目: 580万円(90%)、12ヶ月目以降: 650万円(標準シナリオ)。悲観シナリオは月商500万円で営業利益率15%、楽観は月商750万円で利益率24%」

提出後の流れ(公庫融資のケース)

  1. 面談予約: 計画書提出後、1〜2週間以内に面談日程の連絡。面談は1〜1.5時間
  2. 面談(重要): 計画書の数値根拠・経営者の経験・既存借入を中心に質問。資料の数値はすべて口頭で説明できるレベルに準備
  3. 追加資料の提出: 物件契約書(賃貸借契約書)、設備見積書、自己資金通帳の写しが標準。仕入先見積書を追加で求められる場合あり
  4. 審査結果: 面談から2〜4週間で結果連絡。可決の場合は借入条件(金額・利率・返済期間)が提示される
  5. 契約・融資実行: 契約書類締結後、指定口座に入金。物件契約・内装工事の支払スケジュールに合わせて実行日を調整

面談でよく聞かれる質問

  • 「なぜこの業態を選んだのか」(経験との整合性)
  • 「なぜこの立地を選んだのか」(商圏分析の根拠)
  • 「客単価と客数の根拠は」(売上予測の納得性)
  • 「自己資金の準備期間と源泉は」(事業への本気度)
  • 「既存借入の返済状況は」(信用情報の確認)
  • 「売上が予測の70%だった場合の対応策は」(悲観シナリオへの備え)

テンプレート

日本政策金融公庫の公式創業計画書テンプレートは 公庫公式サイトの創業支援ページ からダウンロードできます。A4で4〜6枚の標準フォーマットで、Excel・PDFの両形式が用意されています。

採択率を上げるコツ

  1. 認定支援機関の関与: 商工会議所・税理士・中小企業診断士などに事前レビューを依頼。「事業計画書 認定支援機関確認済み」の付記で印象が改善
  2. 数値の整合性: 売上予測・原価率・人件費・家賃のすべてが連動して矛盾がない状態に整える
  3. 悲観・標準・楽観の3シナリオ: 3シナリオを揃えると、リスク認識の高さが評価される
  4. 競合分析の具体性: 周辺3km圏の競合店を3〜5店舗、客単価・客層・強み弱みで一覧化
  5. 過度な楽観の排除: 「初月から満席」のような計画は実現性で減点。標準シナリオで返済可能なラインに収める

注意点

  • 計画書の数値は「業界平均値」をベースにしつつ、自店舗の独自要因(経験・立地・差別化)で根拠を補強する
  • 過度に楽観的な売上予測は審査で減点。標準シナリオで返済可能な計画を組む
  • 商工会議所・税理士・中小企業診断士などの認定支援機関に内容を確認してもらうと採択率が上がる
  • 面談では計画書の内容を口頭で説明できるよう、数値の根拠を頭に入れておく

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最終確認日: 2026-04-29