飲食ビジネスナビ

ラーメンの利益率

読了時間: — 分

当サイトのモデル設定:基準値と設定範囲

赤い印は当サイトが置いている基準値、帯は設定範囲の下限から上限です。公的統計の実測でも、実在する店舗の分布でもありません。実際の決算を集計した数字は、このページの後半で並べます。

営業利益率
5% 基準値 10% 15%
FL比率
55% 基準値 60% 70%
原価率
25% 基準値 30% 35%
人件費率
25% 基準値 30% 35%

当サイトはラーメン屋の営業利益率を5〜15%(基準値10%)と置いています。一方、日本政策金融公庫が融資先の決算書を集計した「中華料理店」分類(中華そば店・ぎょうざ店を含む)では、営業利益率が平均−1.0%、中央値0.3%でした。対象も算出方法も違う2つの数字です。本ページでは両方を並べ、当サイトの費用の置き方と公庫の指標を比べたうえで、1杯の値段と、黒字に必要な1日平均の客数に落として整理します。

カウンターに並ぶラーメンと餃子、ご飯
総務省の小売物価統計調査で、外食の「中華そば」1杯の値段は、掲載81市の中央値で747円です(2026年7月、当社算出)。客単価1,000円に営業利益率の基準値10%を当てはめると、客1人あたりの営業利益相当額は約100円です。(イメージです)

売上1,000円のうち、いくら残るか

ラーメンの売上1,000円が、どこにいくら出ていくかを、36業態の中央値と並べたものです。中央値の側も同じ1,000円を分けた場合の額です。1,000円は比べるための基準額で、実際の客単価や月商ではありません。

ラーメン 300 300 300 100 36業態の中央値 350 250 260 140 原価 人件費 家賃・水光熱・その他 営業利益
当サイトのモデルでは、売上1,000円あたり100円が営業利益として残る(36業態の中央値をあてると140円)

数値は当サイトが36業態に置いている想定比率から換算した金額で、公的統計の実測ではありません。中央値は原価・人件費・営業利益それぞれで取った値で、特定の1業態の収支を示すものではありません。「家賃・水光熱・その他」は1,000円から3つを引いた残りで、その他費用の中央値ではなく、内訳までは分けていません。単位は円。

ラーメンの利益構造

ラーメンの利益式は 売上 - 食材費 - 人件費 - 家賃 - 水光熱費 - その他経費。当サイトは主な立地を駅前・繁華街・オフィス街・ロードサイドと想定しています。当サイトのモデルでは、基準値としてFL比率60%、人件費比率30%、原価率30%を置いています。

試算で見る ラーメン の利益構造

15坪・18・客単価1,000円・回転率6回・営業26日のケース

この試算の営業利益率11%は、当サイトのモデル設定範囲5〜15%の範囲内にあたります。

月商280.8万円
FL費(食材+人件)168.48万円
家賃22万円
水光熱20万円
その他経費40万円
営業利益30.32万円(11%)

ラーメン屋の利益率は何%か。公庫融資先の「中華料理店」集計では平均−1.0%

実際の決算はどうなっているか。日本政策金融公庫が融資先の決算書を集計した「小企業の経営指標調査」には、ラーメン店だけの分類はありません。ラーメン店が入るのは「中華料理店」で、公庫はこの分類に中華そば店とぎょうざ店を含むと注記しています。調査対象数は109社です。

指標平均中央値黒字企業※
売上高総利益率(100−原価率)65.0%65.8%65.5%
人件費対売上高比率33.6%33.7%32.5%
諸経費対売上高比率29.7%28.4%26.9%
売上高営業利益率−1.0%0.3%3.3%
損益分岐点比率102.6%100.3%97.5%

出典:日本政策金融公庫 総合研究所「小企業の経営指標調査」業種別経営指標(飲食店,宿泊業)の「中華料理店」(中華そば店、ぎょうざ店を含む)。2026年9月19日に確認。※「黒字企業」は同調査の「黒字かつ自己資本プラス企業平均」で、利益率については営業利益・経常利益がマイナスの企業をさらに除いて集計されています。各指標には異常値の除外もあります。

売上高営業利益率の平均は−1.0%、中央値でも0.3%です。「黒字企業」列の3.3%は黒字かつ自己資本プラスの企業に絞った平均で、赤字の企業を除いてもこの水準でした。損益分岐点比率も、平均102.6%・中央値100.3%と、100%のすぐ上にあります。

母集団も確かめておきます。対象は、公庫の国民生活事業が融資した法人企業のうち、従業者50人未満・決算期間1年の企業です。2025年度調査で、2025年4〜12月に融資した企業の、2024年7月以降の決算にもとづきます。個人事業主は入っていません。

公庫自身も、融資先から抽出した調査なので「集計結果は必ずしも当該業界全般の実態を反映するものではない」と注記しています。ラーメン店単独の数字でもありません。それでも、実際の決算書から集計された数字であることに意味があります。

当サイトの試算と公庫の指標を、費用ごとに並べる

当サイトはラーメン屋の営業利益率の基準値を10%と置き、上の試算(15坪・18席・客単価1,000円・回転6回・営業26日)では10.8%になります(試算ボックスでは四捨五入して11%)。公庫の平均−1.0%とは11ポイント以上離れています。売上に対する比率で費用の置き方を並べます。利益率の差を要因ごとに分解したものではありません。

売上に対する比率当サイトの試算公庫・中華料理店の平均
原価30.0%35.0%
人件費30.0%33.6%
家賃・水光熱・その他(公庫は諸経費)29.2%29.7%
営業利益率10.8%−1.0%

当サイトの試算は、上の試算ボックスの金額を月商280.8万円で割った比率です。公庫の原価は、売上高総利益率65.0%から算出した売上原価の比率です。公庫の人件費には労務費が入り、諸経費には原価報告書に計上された経費も含まれ得るため、当サイトの原価(食材など)・人件費と会計上の区分が一致するとは限りません。

数値の開きが大きいのは原価と人件費で、公庫の平均のほうが原価は5.0ポイント、人件費は3.6ポイント高い値です。諸経費は29.7%で、試算の家賃・水光熱・その他29.2%と近い値ですが、公庫の諸経費には減価償却費と外注加工費が入らず、試算の「その他」も範囲を定めていないため、同じものを並べているとは言えません。

ただし、この表を縦に足し引きしても公庫の営業利益率にはなりません。公庫は指標ごとに平均を取り、異常値も指標ごとに除いています。諸経費からは減価償却費と外注加工費が除かれているので、65.0−33.6−29.7=1.7ポイントは営業利益率−1.0%と一致しません。

もうひとつ、比べるときに揃えておきたいのが店主の報酬です。公庫の人件費には役員報酬・退職金・福利厚生費が含まれ、法人では代表者の報酬も人件費に入ります。公庫は、小企業では人件費に占める代表者やその家族の割合が高いケースが多いとも注記しています。個人で店を営む場合、店主の取り分は人件費ではなく利益から出ます。当サイトの試算も、人件費に店主の報酬を含むかは分けていません。自店の営業利益率を公庫と比べるなら、店主の報酬を人件費に入れた形に直してから比べてください。

試算の家賃・水光熱・その他をそのままにして、原価と人件費だけを公庫の平均(35.0%・33.6%)に置き換えると、営業利益率は約2.2%になります。当サイトの基準値10%は、原価30%・人件費30%で組めることを前提にした数字です。

損益分岐点で比べると、試算は84.6%、公庫融資先の中華料理店は平均102.6%

公庫の損益分岐点比率は、営業経費と支払利息割引料の合計を売上高総利益で割って出しています。原価だけを売上に比例する費用とみなし、人件費・家賃などの営業経費はすべて固定費として扱う計算です。公庫の解説では、100%を下回るほど売上の減少に耐えられ、100%を超えているときは経常損失が出ている状態とされています。ただし公庫は、この比率には営業外収益の内訳を加味できないなどの限界があると注記しています。同じ中華料理店の売上高経常利益率は平均+0.1%なので、102.6%をそのまま平均的な赤字の大きさとは読めません。

同じ式を当サイトの試算に当てます。営業経費は人件費84.24万円・家賃22万円・水光熱20万円・その他40万円の合計166.24万円、売上総利益は月商280.8万円から原価84.24万円を引いた196.56万円です。試算に支払利息は入れていないので、166.24万円÷196.56万円で84.6%になります。

この試算の前提では損益分岐点まで15%ほど余裕があり、公庫の3つの値は100%のすぐ近くにある
当サイトの試算 84.6% 公庫・黒字企業 97.5% 公庫・中央値 100.3% 公庫・平均 102.6% 80% 90% 100% 破線=100%(損益分岐点)。横軸は80%から

「公庫」の3本は、公庫融資先の中華料理店(中華そば店・ぎょうざ店を含む)の値です。上の表と同じ出典で、企業ごとに算出した比率の平均・中央値と、黒字かつ自己資本プラス企業の平均です。公庫は、損益分岐点比率には営業外収益の内訳を加味できないなど調査項目に限界があると注記しています。

この試算の前提(原価率30%、ほかの費用は売上に関係なく一定、客単価は据え置き)では、売上が15.4%落ちるまで赤字になりません。これを客数に直します。損益分岐点の月商は166.24万円÷70%で約237.49万円です。客単価1,000円なら、26日の合計で約2,375人、1日平均で約91.3人が黒字の境目です。

試算は18席×6回転で1日108人なので、1日平均で約16.7人の余裕があります。黒字か赤字かは月の合計で決まるので、客の少ない日があっても、ほかの日で合計が約2,375人を超えていれば黒字です。回転に直すと、1日平均で約5.1回が境目です。客が1人1杯ずつラーメンを頼むなら、杯数も同じ数になります。

中華そば(外食)の都市別価格の中央値は、2019年から27%上がった

総務省の小売物価統計調査には「中華そば(外食)」という品目があります。基本の銘柄は「ラーメン、しょう油味(豚骨しょう油味を含む)、持ち帰りは除く」で、1杯の値段が市ごとに毎月公表されています。ただし統計局は、都市によって基本銘柄と異なる銘柄で調べる場合があると注記しているので、以下は「中華そば(外食)」の都市別価格として読んでください。同表に掲載された81市の各年7月の値から、中央値を当社で出しました。

中華そば(外食)1杯の値段(81市の中央値、各年7月)
588 599 600 623 650 688 733 747 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 単位は円。棒は0円から描いています

出典:総務省「小売物価統計調査(動向編)」主要品目の都市別小売価格、品目2102「中華そば(外食)」。同表に掲載された81市の各年7月の値から、当社が中央値を算出。銘柄は同調査の「調査品目及び基本銘柄」(2025年12月現在)による。2026年9月19日に取得。

2019年7月の588円から、2026年7月は747円。27.0%上がっています。調べている市は年によって入れ替わっており、2019年と2026年では4市ずつ違います。2019〜2026年の各年7月、8時点すべてに値がある76市だけで中央値を取っても590円から747.5円で、上がり幅は26.7%でした。同じ店の同じ1杯を追いかけた値上げ率ではない点には注意してください。上がり方は2022年以降に大きくなり、2023年から2024年は38円、2024年から2025年は45円上がりました。

同じ2026年7月でも、市によって値段はかなり違います。81市のうち最も安いのはさいたま市の465円、最も高いのは熊本市の993円でした。主な都市の値は次のとおりです。

市中華そば(外食)1杯(2026年7月)
広島市879円
札幌市858円
福岡市803円
京都市786円
大阪市761円
名古屋市729円
横浜市718円
神戸市683円
東京都区部617円
仙台市530円

出典は上の図と同じ。都市ごとの値は、その市で調査している店の価格から出されたもので、同じ市でも店によって値段は大きく違います。

客単価1,000円と、1杯747円の差

当サイトの試算は客単価1,000円です。小売物価統計の価格は税込なので、客単価も税込として比べると、中華そば(外食)1杯の中央値747円より253円高い値です。モデル店のラーメンを747円と置くなら、差の253円はトッピング・サイド・ドリンクで積む前提になります(単価の積み方はラーメンの客単価で扱います)。

原価に直すと、使える金額がはっきりします。原価率30%で組むなら、税込747円のラーメン1杯に使える原価は、税込同士の簡易計算で約224円です。客単価1,000円で見ると、サイドやドリンクも含めた1人分の原価の合計が300円になります。仮に原価率を公庫の売上原価率と同じ35.0%と置くと、それぞれ約261円と350円です。

1杯の原価の内訳は、スープの系統、自家製麺か仕入れか、トッピングの組み方で店ごとに大きく変わります。スープ・麺・タレ・具材それぞれの内訳の金額は、店による違いが大きいため、このページでは設定しません。スープ・麺・タレ・具材について、同じ期間に売った分と捨てた分に使った材料費を合計し、その期間に実際に売れた杯数で割ると、捨てた分も含めた1杯あたりの材料原価が出ます。次の期間に持ち越す在庫は除きます。材料費と販売価格の税込・税抜を揃えて割れば、1杯の原価率です。その原価率を当サイトの設定30%と比べます。224円は、販売価格747円の場合の計算例です。

FL比率60%の中身は、原価と、仕込みを含む人件費

当サイトはラーメン屋のFL比率の基準値を60%と置いています。内訳は原価率30%と人件費比率30%です。公庫の集計は指標ごとの平均なので、原価と人件費の平均を足しても、公庫の企業のFL比率にはなりません。

人件費には接客・調理・片付けに加えて、スープや麺を店で仕込む場合はその時間も入ります。仕込みは営業時間外に行われることが多く、売上の数字には表れません。雇った人に任せればその分が人件費に入り、個人店の店主が自分で仕込めば、費用には計上されずに店主の労働時間として残ります。原価や人手を減らすときは、味や提供の速さへの影響を合わせて確かめる必要があります。

自店の決算書で、損益分岐点比率を出してみる

公庫の損益分岐点比率は、決算書(損益計算書)の数字から直接出せます。人件費や諸経費を積み上げて作り直す必要はありません。売上総利益がプラスの決算で使う指標で、売上総利益がゼロ以下なら、この比率で余裕を判断することはできません。

  1. 損益計算書から、売上高、売上総利益(売上高−売上原価)、販売費及び一般管理費、支払利息割引料(支払利息と、手形の割引料があればそれも)を拾います。公庫の「営業経費」は、この販売費及び一般管理費にあたります。
  2. (販売費及び一般管理費+支払利息割引料)÷売上総利益×100 で、損益分岐点比率が出ます。
  3. 売上高×損益分岐点比率÷100 が、損益分岐点の売上です。年の決算なら年の売上なので、客単価(売上高と同じく税込か税抜かを揃えたもの)で割ると年間の客数、年間の営業日数で割ると1日平均の客数です。季節による売上の波は、別に月次で見ます。

比べるときに気をつけたい点が2つあります。公庫の売上高は原則として消費税を含む額なので、税抜で経理している決算とは完全には揃いません。また個人で店を営んでいて、店主の報酬が費用に入っていない場合は、役員報酬を人件費に含む法人の数字より比率が低く出ます。店主の報酬を仮に費用に加えた値も並べておくと、公庫の数字と見比べやすくなります。

読み方は、100%を境に分けます。100%未満なら、原価率が一定で、販売費及び一般管理費と支払利息割引料の金額が変わらなければ、売上が(100−比率)%減るまでは、計算上これらの費用を賄えます。そのほかの営業外損益や特別損益は、この計算には含みません。100%ちょうどなら損益分岐点の売上に届いた状態、100%を超えていればまだ届いていない状態です。公庫の平均102.6%・中央値100.3%は、自店が融資先の中華料理店のなかでどのあたりにいるかを見る目安にとどめ、上で見た公庫の注記も踏まえて読んでください。

当サイトの試算は、費用を人件費・家賃・水光熱・その他の4つに置いただけで、「その他」の中身は定めていません。「その他」などに含めていない減価償却費や支払利息割引料がある店では、同じ売上・原価率のまま、その分を費用に加えると、損益分岐点比率も黒字に必要な客数も上がります。

利益率の改善に向けて検討する4つの打ち手

検討する打ち手は、次の4つに整理できます。導入の費用と厨房の能力を確かめたうえで、自店に合うものを選びます。

  • 回転を上げる:券売機で注文と会計を同時に済ませる、メニューを看板数種に絞る、カウンター中心の配置にする、といった方法でピークの提供数を増やせないか検討します。
  • 客単価を上げる:トッピング・サイド・夜のドリンクで、1杯の値段に上乗せする部分を作ります(詳細はラーメンの客単価)。
  • 原価を把握する:仕込みでとれる杯数から出した1杯の原価(理論値)と、実際に売れた杯数と捨てた量から出した1杯の原価(実績)を並べて記録します。差が開いていれば、盛りの量や仕込みの量を見直します。仕入れは複数社で見積もって比べます。
  • 経費を見える化する:スープを長時間炊く店では、ガス・電気代を月ごとに記録し、仕込みの時間帯とあわせて見直します。

上場大手ラーメン企業の経常利益率実績

ここまでは、個人店の規模を前提に見てきました。規模の大きい会社の決算はどうなっているかも並べておきます。上場しているラーメン業界の会社の最新の有価証券報告書 (EDINET公表) から経常利益率を抽出しました。ここに載るのは上場企業だけで、業態全体を代表するものではありません。中央値で 8.3%、ROE中央値 20.5% です。

企業売上高経常利益率ROE決算期
丸千代山岡家 (3399) 430億円(単体) 11.3% 43.9% 2026-01
ギフトホールディングス (9279) 359億円 9.4% 23.4% 2025-10
力の源ホールディングス (3561) 363億円 7.1% 16.1% 2026-03
幸楽苑ホールディングス (7554) 294億円(単体) 5.2% 17.6% 2026-03

※ 出典: EDINET (金融庁公表 有価証券報告書) 最新期。IFRS適用企業は「税引前利益」を経常利益相当として扱っています。飲食上場企業ランキング で全業態の集計を確認できます。

監修者の現場コメント

ラーメンの他のテーマ

ラーメンを考えるときに役立つコラム

10都市のラーメン開業ガイド

業態×テーマの個別相談

記事の数値や打ち手を自店の状況に当てはめて検討したい場合は無料相談をご活用ください。